こんにちは、柿本です。
先日、興味深い本を読んだのでご紹介します。
高木兼寛の生涯を描いた『白い航跡』
高木 兼寛(たかき かねひろ)
皆さま知っていますか?
お恥ずかしながら、僕も最近まで知りませんでした。
実はものすごい功績のある医師で、
「ビタミンの父」などとも呼ばれていますね。
戦争時代の話。
日本の軍人たちは「脚気」という病に苦しめれました。
神経障害によって足がしびれ、
最悪の場合は死に至る病。
本当に本当に多くの軍人がこの病を患い、
戦争に大きな影響を及ぼしました。
当時の医学では原因不明の病です。
(※原因はビタミンB1の欠乏)
東洋医学から西洋医学に切り替わる時代の日本。
そのときの日本はイギリス医学、ドイツ医学の
どちらを採用するか揺れに揺れていました。
イギリス医学を学んだ筆頭が、高木兼寛です。
高木兼寛は膨大なデータを分析し、
脚気の原因は「食事」にあると推測します。
白米ばかり食べている食生活が原因だと。
海軍は食生活を改善し、遂に脚気を撲滅させます。
しかし日本国家が選んだのはドイツ医学…
当時のドイツ医学は研究至上主義です。
実験結果中心の高木兼寛の意見など、
鼻にもかけなかったのでしょう。
いやいや、原因は「菌」であると。
ドイツ医学を学んだ森鴎外が対立した意見を述べます。
そう、あの作家の森鴎外です。
そのせいで…
どれだけの陸軍の軍人たちが命を落としたか…
海軍よりもずっとずっと大所帯の陸軍は、
食生活の改善を行っていなかったのです。
脚気の原因解明だけではなく、看護師の育成など、
高木兼寛の功績は計り知れないものがあります。
それにも関わらず、森鴎外という権力者がいたために
時代の影に潜めてしまったのかもしれませんね。
もっと詳しく知りたい方は、『白い航跡』をぜひ!
ちなみに・・・
医師としての森鴎外の誤謬は見過ごせませんが、
作家としての功績は凄いです。
ゲーテの名作 『ファウスト』の翻訳が、
躍動感があって、素晴らしいんです!!
読書の秋ですね!
自分の意見が正しいと思っていても、
まわりに耳を傾ける勇気を持ちましょう!
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