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2018.04.18

ミシェル・ウエルベック著 『服従』

こんにちは、柿本です。

 

興味深い一冊を読んだのでご紹介。

 

ミシェル・ウエルベック著 『服従』

 

フランスにイスラーム政権が誕生するという驚愕の展開。

それが現実に起こりうるかどうかは分かりませんし、

宗教に関連する話はここでは割愛します。

 

ぼくが興味深いと思ったのはイスラーム政権よりも、

主人公の立ち振る舞いです。

佐藤優氏が述べているように、知識や教養は脆いものです。

それは19世紀ロシア文学の「余計者」を喚起させます。

知識や教養がありながらも、現実を直視することに諦めたものたち。

プーシキンのオネーギンやツルゲーネフのルーヂン。

 

『服従』の主人公も政治が激動するなか、

恋人とも別れ、その後の人生の選択を諦めます。

抵抗せずに流されていく。

まさに服従。

 

少し難しい表現で言うと、

個としての「アイデンティティの崩壊」でしょうか。

 

この一冊を読んで、

大学の卒業論文にこのようなテーマを扱ったのを思い出しました。

ロシアの文豪、アントン・チェーホフについての論文。

「アイデンティティの崩壊」

その表現、書きましたね。

んー、懐かしい。

 

たまには迷路に迷い込むような一冊も悪くないですね!

 

ちなみに『服従』に関しては、

イスラムの知識が若干あった方が読解力が上がるかも。

そんな方におススメはこちら。

 

内藤正典著 『イスラム戦争』

 

本、読みましょ!!

 

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