こんにちは、柿本です。
興味深い一冊を読んだのでご紹介。
ミシェル・ウエルベック著 『服従』
フランスにイスラーム政権が誕生するという驚愕の展開。
それが現実に起こりうるかどうかは分かりませんし、
宗教に関連する話はここでは割愛します。
ぼくが興味深いと思ったのはイスラーム政権よりも、
主人公の立ち振る舞いです。
佐藤優氏が述べているように、知識や教養は脆いものです。
それは19世紀ロシア文学の「余計者」を喚起させます。
知識や教養がありながらも、現実を直視することに諦めたものたち。
プーシキンのオネーギンやツルゲーネフのルーヂン。
『服従』の主人公も政治が激動するなか、
恋人とも別れ、その後の人生の選択を諦めます。
抵抗せずに流されていく。
まさに服従。
少し難しい表現で言うと、
個としての「アイデンティティの崩壊」でしょうか。
この一冊を読んで、
大学の卒業論文にこのようなテーマを扱ったのを思い出しました。
ロシアの文豪、アントン・チェーホフについての論文。
「アイデンティティの崩壊」
その表現、書きましたね。
んー、懐かしい。
たまには迷路に迷い込むような一冊も悪くないですね!
ちなみに『服従』に関しては、
イスラムの知識が若干あった方が読解力が上がるかも。
そんな方におススメはこちら。
内藤正典著 『イスラム戦争』
本、読みましょ!!
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