こんにちは、柿本です。
またまた池井戸潤作品のご紹介です。
今回の主役は運送会社の社長!
なんか親近感湧きますね。
運送会社が出てくる小説って本当に少ない気がします。
『空飛ぶタイヤ』
タイヤの脱輪事故により、死亡事故が起きてしまうところから小説は始まります。
(おそらく数年前に実際に起きた事故を題材にしてると思われます)
脱輪の原因は何だったのか。
トラックメーカーが出した結論は、
「整備不良」
構造上の問題、所謂リコールでは決してないと。
この小説の運送会社は、自社で全てトラックの点検整備を行っていました。
(運送会社は車検とは別に、日々の日常点検、3ヶ月ごとの点検を行わなければなりません。)
つまり事故の原因は、全て運送会社側の管理問題という結論を出したわけです。
大手自動車メーカーのリコール隠し。
顧客との取引停止。
圧迫する資金繰りの中、銀行の貸し渋り。
そのような過酷な運命の回路に翻弄されながらも、
社長は戦うことを決意します。
整備不良ではない。これはリコール隠しだ、と。
ヒーローの世界のように必ず正義が勝つとは限らないのが、
世の常ですが・・・
(むしろ、往々にして権力を持つ側が正しいという結論になる)
自分が正しいと思うことを貫き続ける話は感動を生みますね。
ましてや、それが社会的弱者側の立場であればなおです。
この話がどういう結末をむかえるか、気になる方は手に取ってみて下さい!
権力を目の前にしたとき自分がどういう立場をとるか…
村上春樹さんがエルサレム賞受賞の際に行ったスピーチに
こんな一言がありました。
「もし、硬くて高い壁と、
そこに叩きつけられている卵があったなら、
私は常に卵の側に立つ」
どちらが正しいか正しくないかは別として、
卵の側に立つのは簡単なことではありません。
それ相応のリスクを背負わなければなりませんから。
まぁ・・・
ちょっとややこしい話になりそうなのでこの辺で辞めておきます。笑
『空飛ぶタイヤ』、物流業界に関わる方はぜひ~
では、また。
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